東海道五十三次 48、坂之下 筆捨嶺
『東海道五十三次』は、旅の起点である東京日本橋から京都三条大橋迄のいわば宿場町と道中の風景を描いた歌川広重の代表作です。
左手のそびえる山の姿。
この山は岩根山、またの名を筆捨山といい、あまりの絶景は室町時代の著名な画家である狩野元信にもついには描けず、筆を捨てたとの伝説からその名がついたと言われています。
広重は奇峰とも呼ぶべき山容を作り出しました。この高台の下には八十瀬川が流れており滝はそちらへ流れ落ちています。
角ばった岩塊が密集した山容、二筋の滝の描写は、山水画の歴史の中で蓄積された表現技法を思わせます。
藤の茶屋で眺望を楽しむ人々の姿は愛らしく画面の雰囲気を適度に和らげています。
茶店の屋根の下では二人連れの旅人が談笑しています。店の女性も会話に加わっている素振りです。
床几の男性は、筆と神を持って考え事をしているようです。
筆捨山の絶景を俳句もしくは短歌に詠もうとしているのではないでしょうか。
茶店の軒先に何枚も吊り下げられた紙は、旅人たちが俳句や短歌を書きつけて残していったものと想像できます。
東海道五十三次/木版画
サイズ 18.3×25.8
マットサイズ
額装サイズ
東京国立博物館監修
版元 美術社
技法 古法純手摺
¥4,400価格
料金オプション
サブスクリプション
¥4,400キャンセルまで、毎月