源氏五十四帖 第1帖 若紫
源氏物語五十四帖は、源氏の一生と、その子 薫君の生涯にまたがって書かれた最古の長篇小説です。
その長大な物語は、この巻からのはじまりです。
主人公光源氏の誕生以前実母、桐壷更衣のことから書き始めました。
時代は不明ですけれど、桐壷帝の御代、桐壷更衣という優れた女性がおられました。帝に寵愛されたことで、帝の第一妃弘徽殿女御をはじめ女官たちの恨みを買ってしまいます。その迫害に耐えかねて、源氏が三才の秋、更衣ははかない生涯を閉じました。
帝の悲観はもちろん、更衣の母北の方のなげきも言葉になりませんでした。
そうした悲しみの中で、源氏は母の愛を受けることなく育ち、母を慕い求める幼い心は、後にいろいろな恋愛に傾倒する所以であったかもしれません。
源氏が七才の頃、読書始めの式が盛大に行なわれました。その頃、高麗から渡来した人相見が源氏の人相を見て、「この人には将来天位に即く相がある」と。「しかしそうなると国が乱れる」と言ったので、帝は源氏を臣下にし源氏の姓を賜りました。
永年、亡き桐壷更衣を慕って悲しんでおられた帝にも春が訪れます。桐壷更衣にそっくりの藤壷が女御として宮中に参入したからです。帝の喜びはこの上もありませんでした。
源氏は成長するにつれ、文武両道、容貌も輝き渡る美しさで、世間では光君と呼び、藤壷をも輝く日の宮と言い並び称する有様でした。そうなるとどうしたことでしょう。弘徽殿女御は、再び嫉妬の炎をもやし、二人を目の仇にしてしまいます。
源氏が十二才の時、左大臣の娘葵上と結婚し、壮麗な二条院に住むことになりました。しかし源氏は、藤壷が亡き母に似ているというので、藤壷を恋い慕い、葵上とでなく、藤壷と共にこの美麗な邸宅に住みたいな、と思うようになります。
源氏五十四帖
海老名正夫原画
製作32年
技法 木版画
サイズ 33×23.5
マットサイズ
額装サイズ