源氏五十四帖 第52帖 蜻蛉
源氏物語五十四帖は、源氏の一生と、その子薫君の生涯にまたがって書かれた最古の長篇小説です。
宇治では、急に浮舟が行方不明になったので大騒ぎです。母の中将の君、匂兵部卿宮の驚嘆は言葉にならないほどでした。人々は、浮舟が宇治川に身投げしたのだと思い、いつも身に着けていた着物や布団などを、亡骸の代りにと焼いて葬儀をすませました。
薫君は、石山に参籠していて、この悲報に接しても山から下ることが出来ませんでした。都へ帰ってからも憂鬱な毎日が続き匂兵部卿宮悲しみの余り病気になったので、薫君はその病気を見舞い、互に悲しい胸中を語り合います。
こうしたうちにも月日は過ぎて、蓮の花盛りの頃、明石中宮は、源氏と紫上の供養のため、法華八講を行いましたが、列席した薫君は、結願の日西の渡殿の部屋で世にも稀れな美しい女人を見かけました。妻の女二の宮とは腹違いの姉女一の宮です。薫君の心は動き、それとなく様子をさぐったり、美しい絵本などを贈ったりしました。
その頃、故桐壷帝の御子の式部卿宮の忘れ形見の姫君が、継母にいじめられるのを見かねて従姉妹に当る明石中宮が自邸に引きとって世話をしておりました。この姫君に対して、匂兵部卿宮も、薫君も心引かれていたのです。
秋の暮、蜻蛉が飛び交うのを眺め、かすかで弱々しいその様子を、字治の大君や浮舟の身のはかなさを思い淋しい宿命に涙を流すのでした。
源氏五十四帖
海老名正夫原画
製作32年
技法 木版画
サイズ 33×23.5
マットサイズ
額装サイズ
¥4,400価格
料金オプション
第52帖 蜻蛉
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